ゲーム音楽について

「好きな音楽はなんですか?」

「ゲーム音楽です」

そう言ったら、怪訝な顔をされた。
そんな経験、ありませんか?

ゲーム音楽が好きだって、おおっぴらに言えない。
そんな経験、ありませんか?

少なからず身に覚えのある人、いるんじゃないでしょうか。
これってどうしてなんでしょう?

(厳密に言うと違うのですが)
私はクラシックが好きで、指揮者になりました。
私はゲーム音楽が好きで、ゲーム音楽の指揮もします。
ですが、クラシックというと高貴なイメージを持たれ、
ゲーム音楽というと一段低く見られる。
そんな経験を何度もしてきました。

ゲーム音楽というジャンルが認知され始め、
そういった事は少なくなってはいますが、
今でもそういった偏見は存在します。
しかし、両者を知っている私からすれば、そこには
埋められないほどの隔たりがあるとは思えないのです。

私はクラシックが好きです、吹奏楽も好きです、
ロックも好きです、ポップスも好きです、メタルも聞きます、
ジャズも聞きます、演歌も聞きます、その他にもたくさん。
そしてもちろん、ゲーム音楽も。
つまり、いい音楽は何でも好きなのです。

中でも、小さい頃から触れてきた
ゲーム音楽というものに対しては、
少し特別なものを感じていて、
自分の中では当たり前のように存在しているジャンルです。

ところが、世間一般では、ゲーム音楽とは一体なんなのか、
どんな音楽をさすのか、それが理解されていません。

ゲーム音楽。
一番単純に考えるなら
「ゲームの中で使用されている音楽」
こう定義づけるのが良いでしょう。
映画音楽も同じことが言えると思います。

ですが、一口に「ゲーム音楽」と言っても
本当に多種多様な音楽がそこには含まれています。
弦楽器、管楽器、打鍵楽器、電子楽器、民族楽器etc……。
それらの楽器を使用して、ゲームの中では
数多くのジャンルが網羅されています。
つまり、「ゲームの中で使われている」というだけで、
中身は他のジャンルに属するとも考えられるのです。
ロック、ジャズ、フュージョン、メタル、パンク、
管弦楽、吹奏楽、弦楽合奏、管楽合奏etc……。
無い音楽は無いというくらい、
あらゆるジャンルが含まれています。

ゲームの初期から中期にかけ、
一度に使える音が3音、8音といった制限があったことで、
無駄を削ぎ落とした、実に技巧的で素晴らしい音楽が
たくさん生み出されていますし、
その後も数え切れない名曲が作り続けられています。
例え他のジャンルの音楽と比較したところで、
まるで遜色なく、実に高いレベルにあると思います。

にも関わらず、「ゲームの音楽」という薄皮一枚が
あることにより、これまで市民権を得ることはなく、
耳にするのはゲームの愛好家に限られてきました。
「所詮ゲームの曲」「子供向け」「お遊び」
そんな偏見がまかり通ってきました。
映画音楽はあれほど認められる存在になったのに。

ゲーム好きがゲーム音楽を聴くのは当たり前。
好きなもの同士が集まって、
演奏したり情報交換をしたり。
それは簡単なことです。
私はそこからさらに一歩踏み出したい。

だって、こんなにも素晴らしい音楽が
山ほどあるのに、多くの人が知らず、
過去のものとして眠っているだけだなんて
もったいないじゃないですか。

冒頭に、私はクラシックが好きで指揮者になった
と書きました。
ですが、クラシックがやりたいという気持ちだけで
活動をしているわけではありません。
クラシックが本当に素晴らしい音楽だと心底思っていて、
それをもっと多くの人に、
一人でも多くの人に届けたい。
それが私の活動の根底にあります。
クラシック好きがクラシックを聴くのは
当たり前なのです。

ゲーム音楽も同じです。
私にとって、ゲーム音楽とクラシック、
分ける必要なんてまるでなくて、
ただ、いい音楽を一人でも多くの人に届けたい。
たまたま私は他の指揮者よりも
ゲーム音楽に対する想いが強かった。
それだけのことです。

そして、ゲーム音楽のことを
これだけ考えている指揮者は、
世界広しといえども恐らくいない。
少なくとも日本にはいないでしょう。
(もしいらっしゃったら名乗り出てください。
事実でしたら素直に謝ります!)

それが、

「世界一ゲームに明るい指揮者」

を自称している一つの理由でもあります。

ゲーム音楽が市民権を得るためには
乗り越えていかなければならない課題が
たくさんあります。
著作権に対する意識、演奏する側の意識の問題、
その他にも色々。たくさん。

自分の力でどれだけのことができるか
分かりませんが、
課題を一つ一つ乗り越えていき、
少しでもゲーム音楽という存在に対して
力になれれば。

なんてことを考えています。

もしゲーム音楽を利用する立場で、
本気でゲーム音楽のことを
考えていきたいという人がいたら、
是非なにか一緒にやりましょう。
小さくても、出来ることがきっとあるはずです。

楽しみながら、それでいてちょっぴり本気で
活動していきたいと思います。

ゲーム音楽の指揮といえば市原。
そうなったらなんだか楽しいですね。
まだ誰もやっていないことだから、
チャレンジするだけの価値はある。
と、宣言したことを記しておきましょう。
誰かに真似されたら悔しいですしね!

2011/2/14

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